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移動はただの手段、そんなふうに思っていませんか?
でも、もしも「移動そのものが旅の目的」になるとしたら――。
港町をフェリーで巡り、船上で波の音を聞きながら過ごす時間。
寄港地で味わう新鮮なグルメと、まだ知られていない小さな発見。
フェリー旅には、日常では味わえないゆっくりと進む旅のロマンが詰まっています。
この記事では、「フェリー旅の魅力」から「港町グルメ」「船上ライフ」「寄港地の隠れスポット」まで、心と体が喜ぶ旅スタイルをたっぷりご紹介。
読み終わった頃には、きっとフェリーに乗りたくなっているはずです。
横浜駅東口、横浜ベイクォーターより出発、みなとみらい21のぷかり桟橋まで10分、山下公園へ15~35分という定期水上バス。市民の足としても利用されるがぜひ観光でも。
🚢港町と船旅ロマン:フェリーで巡る癒しの時間と美味発見の旅
港町から始まる物語:フェリー旅の魅力とは?
フェリー旅は「移動」そのものが目的になる
フェリー旅の最大の魅力は、「移動」が単なる手段ではなく、旅の目的そのものになることです。通常の旅行では目的地に着くまでの移動時間は退屈だったり、効率よく短縮したいものですが、フェリーの場合はむしろその移動中がハイライト。波の音を聞きながらデッキで海を眺めたり、船内で読書や映画を楽しんだりと、のんびりとした時間が流れます。景色が少しずつ変化していく海の旅は、飛行機や新幹線では味わえない贅沢。特に夕暮れ時の海は、感動的な美しさです。「ただ乗っているだけで癒される」――これこそが、フェリー旅の醍醐味なのです。
飛行機や新幹線と違うゆったり感とは
フェリー旅は、スピード重視の交通手段とは一線を画す「ゆったり感」が魅力。飛行機や新幹線では「早く着く」ことが最優先で、移動中に何かを楽しむ時間は限られています。しかしフェリーは、何時間もかけて目的地に向かうからこそ、旅の余白を楽しむことができます。広い船内では自由に歩き回れ、座席に縛られることもなく、まるで動くホテルにいるような感覚。雑誌を読んだり、ぼーっと海を見つめたり、自分のペースで過ごせる時間は、日常ではなかなか味わえません。「急がない旅」の贅沢さを感じられるのが、フェリーの特長です。
フェリーならではの景色と時間の流れ
フェリーに乗ると、普段目にすることのない“海の表情”を見ることができます。朝焼けでキラキラと輝く水平線、真昼の青く広がる海、夕暮れに染まるオレンジ色の空、夜には星空が降り注ぐような光景。海は常に変化しており、どの時間帯にも特別な美しさがあります。また、フェリーが港を出てから目的地に着くまでの「ゆっくりと進む時間」には、独特の心地よさがあります。スマホを置いて、自然のリズムとともに流れる時間に身を任せると、不思議と心が落ち着いてくるのです。現代の慌ただしい日常から離れ、自分をリセットするにはぴったりの空間と時間が、フェリーにはあります。
大型船で叶える「ホテルのような空間」
最近の大型フェリーは、ただの「船」ではありません。内装がまるで高級ホテルのように豪華で快適に作られており、個室やスイートルーム、ラウンジ、温泉、カフェ、レストランなど設備も充実。ベッドでぐっすり眠れるので、夜行便でも疲れが残りません。個室ならプライベートも確保され、カップルやファミリー、女子旅にもぴったり。船に乗っているだけでワクワクするような空間は、まさに“海の上のホテル”。移動と宿泊が同時にできて、しかも非日常の空間を味わえる――フェリー旅は、想像以上に贅沢な体験なのです。
初心者でも安心のフェリー旅の始め方
「フェリーって難しそう」と思っている方も安心してください。今はネットで簡単に予約でき、乗船方法や持ち物の案内もわかりやすくなっています。出発前に確認すべきポイントは、チケットの種類(車ありorなし)、出港時間と集合時間、持ち込み荷物のルールなど。特に初めての方は、少し早めに港に到着しておくと安心です。また、最近のフェリーはバリアフリー対応や子ども連れ対応も進んでおり、誰でも快適に過ごせるように工夫されています。まずは短時間の航路や近距離のフェリーからチャレンジしてみるのがおすすめ。そこから船旅の魅力にハマる人が続出中です!
横浜駅東口、横浜ベイクォーターより出発、みなとみらい21のぷかり桟橋まで10分、山下公園へ15~35分という定期水上バス。市民の足としても利用されるがぜひ観光でも。
船上での楽しみ方:非日常の船上ライフを満喫しよう
船内施設の楽しみ方:温泉・シアター・ラウンジ
大型フェリーの中には、まるで観光地のような豪華な施設が備えられています。展望風呂から広がる大海原を眺めながらの入浴は、まさに極上の癒し。映画館のようなミニシアターでは新作映画が楽しめたり、船によってはライブや演奏会が開かれることも。さらに、海を見渡せるラウンジではコーヒー片手に読書や談笑が楽しめ、まるでリゾートホテルのような贅沢な空間です。船に乗っていることを忘れてしまうほど充実した設備が、非日常の旅を演出してくれます。
甲板で見る朝日と夕日の絶景体験
フェリー旅のハイライトの一つが、甲板から眺める朝日と夕日です。早朝、静かな海の上に現れる朝日は、空と海を淡いオレンジに染め、まるで映画のワンシーンのよう。夕方になると、日が沈むにつれて空がゆっくりと赤く染まり、海が黄金色に輝きます。この時間帯は船内アナウンスで知らせてくれることも多く、カメラを手に甲板へ出る乗客も多数。寒い季節は防寒を忘れずに。自然が織りなすこの壮大なショーは、フェリー旅ならではの醍醐味です。
船旅中の食事事情とおすすめグルメ
「船のごはんってどうなの?」と気になる方も多いでしょう。最近のフェリーでは、ビュッフェスタイルのレストランから本格的な和洋食を出すダイニングまで多彩。新鮮な海の幸や地元の特産品を使ったメニューも多く、グルメ好きも大満足です。中にはカレーやラーメン、焼き立てパンなど、フェリー名物のメニューを提供しているところもあり、「食べる楽しみ」も大きなポイント。また、自分で持ち込んだお弁当を展望ラウンジで食べるのも、また一興です。
船上イベントやアクティビティの紹介
長時間の航海中でも退屈しないように、船内ではさまざまなイベントが開催されます。ビンゴ大会やクイズ、子ども向けワークショップ、季節イベント(クリスマス・ハロウィン)など、乗客みんなで楽しめる工夫が満載。イベントスケジュールは出港時に配られるパンフレットや船内放送で確認できます。思いがけない出会いや交流が生まれるのも、フェリー旅ならではの醍醐味。船という“限られた空間”だからこそ生まれる温かさがあります。
船酔い対策と快適な過ごし方のコツ
船旅に不安を感じる人の多くが気にするのが「船酔い」。しかし、近年のフェリーは安定性が高く、揺れをほとんど感じない航路も増えています。それでも不安な方は、出発前に酔い止めを服用するのがおすすめ。また、船内ではアルコールや脂っこい食事を控え、体を締め付けない服装で過ごすと酔いにくくなります。デッキに出て新鮮な空気を吸うのも効果的。万が一気分が悪くなっても、救護室やスタッフがサポートしてくれるので、安心して船旅を楽しめます。
横浜中華街のシンボル的存在。中国の伝統工芸の粋を凝らした極彩色豊かな建物の中には、「三国志」で活躍した武将、関羽が祀られている。現在の建物は4代目。
食で旅する:港町グルメを堪能しよう
函館:朝市で味わう新鮮海鮮丼
北海道・函館の朝市は、港町グルメの代表格。毎朝5時から開かれ、新鮮な魚介類がずらりと並びます。中でも人気なのが「海鮮丼」。獲れたてのウニ、イクラ、ホタテ、カニなどが豪快にのった丼ぶりは、一口食べると口いっぱいに広がる海の香りがたまりません。観光客に人気の「どんぶり横丁市場」では、自分好みにネタを選べるオーダーメイド海鮮丼も楽しめます。また、活イカ釣り体験ができ、その場で刺身にしてもらう「イカの踊り食い」は函館ならではの体験。フェリーで早朝に到着したら、まずは朝市へ直行するのが鉄板ルートです。
宮崎・油津:港町ならではのカツオ三昧
宮崎県日南市の油津(あぶらつ)港は、全国でも有数のカツオの水揚げ量を誇る港。ここでは新鮮なカツオを使った「カツオ料理」が名物で、刺身、たたき、漬け丼、カツオカツなど、さまざまな料理で味わえます。中でも「カツオめし」は、炊きたてご飯にカツオのたたきをのせ、醤油ダレをかけて食べる絶品郷土料理。脂が乗った旬の時期(春~初夏)は特におすすめです。また、油津にはカツオを使った加工品やお土産も多く、港町の食文化が色濃く残る場所。フェリーで訪れた際には、ぜひ港町の「地元グルメ」を堪能してみてください。
神戸:異国文化が混ざる洋食とスイーツ
神戸は、日本で初めて外国人居留地が設けられたこともあり、独自の“異国文化”が根付いています。その影響で、神戸の港町グルメは洋食やスイーツがとても充実。たとえば「ビーフシチュー」や「オムライス」「カツレツ」などの洋食は、どこか懐かしさを感じる味わい。また、神戸スイーツも有名で、チーズケーキ、プリン、シュークリームなど、洗練された見た目と上品な味が魅力です。港の見えるカフェでゆっくりスイーツを楽しむ時間は、旅の中での癒しのひととき。フェリーで神戸港に寄港したら、グルメ散策は欠かせません。
小樽:歴史と共に味わう寿司とスイーツ
小樽といえば、歴史的な街並みと共に楽しむグルメが魅力。小樽港の近くには新鮮な魚介を使った寿司店が多く、「小樽寿司通り」は観光客にも地元民にも人気です。ネタの新鮮さはもちろん、シャリの握り加減やわさびの香りなど、細部にこだわる店が多いのが特徴。また、小樽はスイーツも有名で、ルタオや北菓楼などの有名店が並びます。歴史ある運河沿いを歩きながら、手作りスイーツや焼き菓子を楽しむ時間は、港町ならではの贅沢。港と食と歴史が調和する小樽は、船旅で立ち寄るには最高の場所です。
博多:港の屋台で出会う絶品ラーメンと地酒
福岡・博多は、港町としての一面と食の宝庫としての魅力を兼ね備えた都市。夜の港町でひときわ目立つのが「屋台文化」です。那珂川沿いや中洲周辺には、地元民も通う屋台が並び、博多ラーメン、もつ鍋、焼き鳥などのB級グルメが楽しめます。特に豚骨ラーメンは、濃厚でありながらクセがなく、旅の疲れを癒してくれる味。また、地酒の種類も豊富で、焼酎や日本酒を片手に港の風を感じながら味わうひとときは格別。フェリーで博多港に着いたら、ぜひ夜の港で“博多グルメナイト”を満喫してみてください。
テーマの異なる4つの水族館と、子どもから大人まで楽しめるアトラクション、ショップにレストラン、ホテルが揃った、海に浮かぶアミューズメントパーク。季節ごとのイベントも充実。
寄港地での小さな冒険:隠れスポットで心ときめく
青森・八甲田丸:フェリーを改装した博物館
青森港に停泊する「八甲田丸」は、かつて本州と北海道を結んでいた連絡船をそのまま博物館として保存したものです。船内には当時の客室や操縦室がそのまま残されており、昭和の船旅がリアルに体感できます。実際の機関室や貨物室を見学できる珍しい施設で、フェリー好きにはたまらないスポット。また、展望デッキからは津軽海峡を一望でき、青森港の景色も抜群。寄港の合間に立ち寄るにはぴったりの“隠れ名所”です。
宇野港(岡山):アートと港が融合する場所
岡山県の宇野港は、直島や豊島へ向かうアートフェリーの玄関口。近年は「瀬戸内国際芸術祭」の会場として注目を集めており、港そのものがアート空間に生まれ変わっています。港のあちこちに現代アートが点在し、散策するだけでも楽しいエリア。また、カフェや雑貨店も増えており、のんびりとした時間が流れます。フェリーを降りてすぐに非日常の世界に入れる宇野港は、感性を刺激する寄港地として人気急上昇中です。
室蘭:工場夜景と絶景岬で知られざる感動体験
北海道・室蘭は工業都市として知られていますが、実は美しい自然景観と夜景スポットが共存する町。特に「白鳥大橋」や「地球岬」から見る風景は圧巻。さらに、港沿いには夜になると工場の灯りが幻想的に輝く“工場夜景”が広がります。専用のクルーズツアーに参加すれば、海上からその光景を一望でき、非日常の世界に引き込まれます。工場の力強さと自然の美しさが交差する室蘭は、意外と知られていない“感動体験”が待っている寄港地です。
志布志:南国情緒漂うビーチと市場巡り
鹿児島県の志布志(しぶし)は、フェリーでの旅人にとって嬉しい南国のような寄港地。港近くには「志布志湾大黒リゾートホテル」や「志布志港市場」など、地元の特産品やグルメを楽しめるスポットが充実しています。砂浜が広がるビーチもあり、晴れた日にはリゾート気分を味わえます。志布志は温暖な気候と人のあたたかさが特徴で、ほっと一息つける時間が流れています。大都市では味わえない“田舎の贅沢”が魅力の港町です。
長崎・伊王島:レトロと自然が融合した穴場
長崎港からフェリーで行ける伊王島は、歴史と自然が融合した癒しのスポット。明治時代に建てられた洋風建築や灯台、レトロな温泉施設が残り、まるで時が止まったかのような雰囲気を楽しめます。一方で、美しいビーチやハイキングコースもあり、自然も満喫できます。観光地としての派手さはないけれど、心がじんわりと温まる“静かな感動”がある場所。長崎に寄港した際は、ぜひフェリーで伊王島まで足を延ばしてみてください。
フェリー旅のすすめ:ゆったり移動がくれる豊かさ
移動時間も旅の一部として楽しむ発想
現代の旅行スタイルでは、「目的地にいかに早く着くか」が重視されがちですが、フェリー旅はその真逆をいきます。フェリーでは、出発から到着までの「移動そのもの」が旅のハイライト。船に乗っている間に、普段できないこと――たとえば本を読んだり、何もしない時間を過ごしたり、海を眺めてぼーっとする――そんな“余白の時間”を楽しめるのです。まるで心の中に余白ができて、日常の忙しさからスーッと離れられる感覚。フェリー旅は、時間に追われる現代人にこそおすすめしたい“ゆっくりの美学”が詰まった旅スタイルです。
フェリーでしか行けないルートの魅力
フェリーには、鉄道や車ではアクセスしづらい場所へもスムーズに行けるルートがあります。例えば、九州と北海道を結ぶ長距離航路や、瀬戸内海の島々を巡る島旅などはフェリーでしか実現できません。途中にある小さな島や港に寄港することで、思いがけない出会いや発見があるのも魅力。陸のルートでは見逃してしまう風景や地元の文化に触れることができるため、「こんな場所があったんだ!」という驚きと感動があります。まさに、フェリーだからこそ体験できる“遠回りの贅沢”です。
人とのふれあいが生まれる「余白時間」
フェリーには、不思議と人と人とが繋がる“ゆるやかな空気”があります。隣の席に座った人と自然と話し始めたり、船内イベントで知り合ったり、同じ景色を見て感動を共有したり…。それは、フェリーという限られた空間とゆったりとした時間の中だからこそ生まれる交流です。忙しい日常ではなかなか味わえない「心を開く瞬間」が、船上にはあります。一期一会の出会いが、旅の思い出をより濃くしてくれるのもフェリー旅の大きな魅力です。
忙しい日常を忘れさせてくれる非日常感
フェリーに乗ると、時計の針がゆっくりと進んでいるような感覚になります。スマホを開く手を止めて、ただ海を眺める――そんな時間を過ごすことで、気づけば心がほぐれている自分に気づくはずです。まるで時間の流れが変わるような「非日常感」が、フェリー旅にはあります。日々の忙しさで疲れた心を癒したい時、慌ただしい日常を離れてリセットしたい時には、飛行機や新幹線では味わえない“静かな贅沢”を感じられるフェリー旅が最適です。
フェリー旅で得られる「心の余裕」とは
フェリー旅を経験すると、旅そのものの見方が変わってきます。「急がなくてもいい」「予定を詰め込まなくても楽しめる」と気づくことで、心に余裕が生まれます。この“余裕”は、旅が終わってからも日常生活に良い影響を与えてくれます。例えば、何気ない景色に感動したり、何もしない時間を心地よく感じられたりと、感性が磨かれるような変化が起こるのです。フェリー旅は、単なる移動手段ではなく、自分と向き合う「心の旅」でもあると言えるでしょう。
テーマの異なる4つの水族館と、子どもから大人まで楽しめるアトラクション、ショップにレストラン、ホテルが揃った、海に浮かぶアミューズメントパーク。季節ごとのイベントも充実。
まとめ
フェリー旅は、単に港町を巡るだけではありません。そこには、ゆっくりとした時間の流れや、船上での非日常体験、寄港地でのグルメや文化との出会い、そして何よりも心を整える旅の本質があります。
飛行機や新幹線では決して味わえない、「旅そのものを楽しむスタイル」。それがフェリー旅です。
移動中に癒され、寄港地で驚きと感動を得て、また船に戻って一息つく…。その繰り返しが、まるで物語のように旅を豊かにしてくれます。
忙しい現代だからこそ、ゆっくり進む旅の良さを見直してみませんか?フェリーに乗れば、あなたの旅の感覚が変わるかもしれません。