はじめに
「湘南＝おしゃれで開放的な海の街」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。でも、ちょっとだけ視点を変えて、江ノ電に揺られながら途中下車してみると、観光地とはひと味違う、昭和レトロな世界が広がっているのをご存知ですか？
今回は、観光客にはまだ知られていない藤沢・鵠沼エリアの「純喫茶」で味わう、絶品モーニング体験をご紹介します。地元民が通い続ける名店や、レトロ好き必見の喫茶空間をめぐる、ちょっと大人な湘南の楽しみ方をたっぷりとお届けします。
藤沢・鵠沼エリアが今、純喫茶ブームの穴場な理由
鵠沼はなぜ「昭和レトロの宝庫」なのか
藤沢市の海側に位置する「鵠沼（くげぬま）」エリアは、湘南という名前にふさわしい穏やかでのんびりとした雰囲気が魅力です。観光地として名高い江の島や鎌倉のような賑わいはないものの、その分、静かで地元の文化が色濃く残る町として、近年注目を集めています。特に目立つのが、昭和の面影をそのままに残す「純喫茶」の存在です。
駅前にチェーン店が並ぶ現代において、鵠沼の純喫茶はどこか懐かしさを感じさせてくれるタイムカプセルのような場所。木製のメニュー看板、赤いベルベットのソファ、ガラス細工の照明、昔ながらのナポリタンやトーストセット――すべてが昭和の空気を閉じ込めています。
この地域にこうしたレトロな空間が残っているのは、地元の人々がその価値を理解し、大切に守ってきたから。代々続く店も多く、観光地化されていない分、純喫茶本来の「日常使いの居場所」としての魅力がそのまま残されています。観光客にはまだあまり知られていない、まさに“穴場”の宝庫なのです。
江ノ電の途中下車が楽しい理由とは？
鵠沼を訪れるには、江ノ電（江ノ島電鉄）に乗るのが最も風情あるアクセス方法です。藤沢駅から鎌倉駅までをつなぐこのローカル線は、全長わずか10kmあまり。途中には、海の見える「稲村ヶ崎駅」や、映画のロケ地としても有名な「江ノ島駅」など、絵になる駅が点在しています。
その中でも「鵠沼駅」や「柳小路駅」は、観光客が見逃しがちな小さな駅。ですが、実はその周辺には地元民に愛される純喫茶やレトロなカフェがひっそりと営業しており、途中下車してこそ出会える店がたくさんあります。
江ノ電の魅力は、単なる移動手段ではなく「旅そのもの」であること。ガタンゴトンという揺れ、車窓から見える湘南の街並み、そして一駅ごとに現れる小さな商店街や古民家風カフェ――そういった風景に出会えるのが魅力です。ちょっと降りて、モーニングを味わい、また乗る。そんなゆるやかな旅のスタイルが、今、若者から年配層まで幅広く支持されているのです。
地元民に愛される喫茶文化の魅力
藤沢や鵠沼の純喫茶は、観光客をターゲットにしたものではありません。むしろ、長年通う常連さんが朝からコーヒーを楽しむ「地域に根ざした場所」として、日常の一部に溶け込んでいます。店の主人が「いつもの？」と声をかける姿、新聞を片手にトーストを頬張るおじいちゃん、静かに読書する女性――そんな温かな光景が、喫茶店という空間に広がっています。
この「人と人との距離感」が心地いいのが、純喫茶の魅力です。都会のカフェのような洗練された雰囲気はないけれど、その分、どこか懐かしく、肩の力が抜けるような安心感があります。地元の人たちにとって、純喫茶は単なる飲食店ではなく「居場所」なのです。
観光客として訪れる私たちも、そんな空間に身を置くことで、ちょっとだけ地元の暮らしに触れたような気持ちになれます。忙しい日常から解放されて、ゆったりとした時間の流れを楽しむ。そんな贅沢を味わえるのが、藤沢・鵠沼の喫茶文化なのです。
鵠沼エリアの喫茶店の特徴と魅力
鵠沼の喫茶店の多くは、店構えに共通する特徴があります。まず外観は古民家風や洋館風が多く、どこかレトロで落ち着いた雰囲気。店内に入ると、木のぬくもりを感じる家具、クラシック音楽、窓から差し込む柔らかな日差し。どれもが時間を忘れさせてくれる空間です。
メニューには、ナポリタンやピラフ、ホットケーキといった懐かしい洋食が並びます。そして何より「モーニングセット」のバリエーションが豊富。トースト、ゆで卵、サラダ、ドリンクがセットになって500円～700円程度と、コスパの良さも大きな魅力です。
また、店舗ごとに内装や器、BGMにこだわりがあり、「どのお店も個性的で飽きない」という点もポイント。写真映えするレトロなインテリアも多く、Instagramなどで注目を集める若者も増えています。
観光ガイドに載らない「隠れた名店」が多いワケ
藤沢・鵠沼には、大手ガイドブックには載っていない、地元密着型の喫茶店が多く存在します。その理由は、広告宣伝をあまりせず、口コミや紹介を通じてお客さんが広がってきたからです。ネットにも情報が少ないため、「探す楽しみ」があるのも魅力のひとつ。
また、そうした店は決して観光客ウケを狙った派手さはなく、長年同じ味とサービスを提供し続けていることが多いです。店主が一人で切り盛りしていたり、手作りのメニュー表があったりと、個人店ならではのあたたかみがあります。
そういった隠れた名店を見つけるには、GoogleマップやSNSよりも、地元の人に聞くのが一番。駅の売店やタクシーの運転手さんなど、地域に詳しい人に聞いてみると、思いがけない発見があるかもしれませんよ。
レトロ喫茶で味わう湘南モーニングの魅力とは
湘南でモーニング文化が根付いた背景
湘南といえば「海」「サーフィン」「観光地」のイメージが強いですが、実は朝の時間帯にカフェや喫茶店でゆっくり過ごす「モーニング文化」も根強く存在しています。これは、地元に住む人たちのライフスタイルに深く根づいているもので、早朝に海辺を散歩したあと、喫茶店でモーニングを楽しむというのが日常の一コマとして定着しているのです。
特に鵠沼や藤沢周辺では、通勤前のひとときや、リタイア後の穏やかな朝時間を楽しむ人々に愛されてきた文化。喫茶店のモーニングは価格も手ごろで、居心地の良さと相まって、老若男女問わず利用されています。
こうした文化が長年根づいてきた背景には、個人経営の喫茶店が地域に密着し、家庭的な雰囲気を大切にしてきたことがあります。地元の人がふらっと立ち寄り、店主と朝の挨拶を交わす――そんな「人と人とのつながり」が、湘南のモーニング文化を支えてきたのです。
昭和の香りが残る空間で過ごす朝の時間
純喫茶で過ごす朝の時間は、まるで時代を遡るような感覚があります。藤沢・鵠沼エリアに点在するレトロな喫茶店の店内には、昭和のインテリアや装飾がそのまま残っており、一歩足を踏み入れただけでどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。
照明はステンドグラス調、天井からはシャンデリアが下がり、壁には静かに時を刻む振り子時計。BGMにはジャズやクラシックが流れ、落ち着いた空間が広がります。そんな中で味わう熱々のコーヒーとトーストは、ただの朝食ではなく「特別なひととき」になるのです。
スマホやSNSの世界から一度離れ、自分のペースで時間を過ごせるのが純喫茶の良さ。新聞を読みながら、あるいは窓の外の風景をぼんやり眺めながら、朝の静けさを楽しむのもおすすめです。現代のスピード感ある生活とは真逆の、ゆったりとした朝のひとときを、昭和レトロな空間で堪能してみてはいかがでしょうか。
地元食材を使ったこだわりモーニングとは
湘南モーニングの魅力は、その「地元食材」にもあります。藤沢・鵠沼の純喫茶では、地元の新鮮な野菜や卵、パンなどを使用したこだわりのメニューが提供されることが多く、素材の味をしっかり感じられるのが特徴です。
例えば、神奈川県産の小麦を使ったトーストや、近隣の養鶏場から仕入れた新鮮な卵のゆで卵。季節の葉物野菜や湘南しらすを使ったサラダが付くこともあります。シンプルながらも、ひとつひとつの素材がしっかりしていて、体に優しく、朝から元気になれる内容です。
また、喫茶店ごとに独自の工夫がされていて、オリジナルのドレッシングや自家製のパン、地元のジャムを添えるなど、食材へのこだわりが随所に見られます。特に、地元産の食材を使ったモーニングは観光客にも人気で、地域の魅力を「食」を通じて感じられる貴重な機会です。
純喫茶のモーニングメニュー定番とは？
純喫茶のモーニングといえば、「トースト＋ゆで卵＋ドリンク」が王道です。藤沢・鵠沼の純喫茶でも、こうした定番セットを朝の7時や8時台から提供している店舗が多く、地元の人たちに長く親しまれています。
以下のようなモーニングメニューが一般的です：
| メニュー名 | 内容 | 価格帯 |
|---|---|---|
| Aセット | バタートースト、ゆで卵、コーヒー | ¥500〜¥600 |
| Bセット | ハムトースト、サラダ、紅茶 | ¥600〜¥700 |
| Cセット | ピザトースト、ミニサラダ、ジュース | ¥650〜¥750 |
お店によってはホットケーキやサンドイッチを選べるところもあり、朝からしっかり食べたい人にもぴったりです。また、飲み物を2杯まで楽しめるサービスや、持ち帰りができる店もあり、利用の幅が広がっています。
昔ながらのやさしい味と、ボリューム感が絶妙にマッチしていて、これが一度味わうとクセになる魅力。純喫茶のモーニングは、単なる朝ごはんではなく、「心を満たす時間」そのものなのです。
湘南モーニングをSNSで映えさせるコツ
藤沢・鵠沼の純喫茶は、インテリアやメニューがフォトジェニックな店が多いため、SNS映えする写真が撮れるのも魅力のひとつです。ここでは、湘南モーニングを上手に撮るためのコツをご紹介します。
まず、撮影するタイミングは朝の自然光が差し込む時間帯がベスト。窓際の席を選ぶと、トーストやドリンクがより美しく映ります。また、背景にレトロな内装や看板、器を入れると、昭和レトロの雰囲気が際立ち、写真の魅力が増します。
構図は「真上からの真俯瞰」や「斜め45度」が人気。特に、陶器のカップや古い木製テーブルなど、店の雰囲気が伝わるように意識すると、より「映える」写真になります。加えて、キャプションにはお店の歴史や特徴、味の感想を添えると、見る人の興味を引きやすくなります。
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藤沢・鵠沼で訪れたいおすすめ純喫茶5選
喫茶サンパール｜江ノ電沿線のオアシス
鵠沼駅から徒歩わずか3分の場所に佇む「喫茶サンパール」は、昭和45年創業の老舗純喫茶です。レンガ造りの外観と、白い木枠のドアを開けると、そこには懐かしさがぎゅっと詰まった空間が広がります。入り口近くには古びたジュークボックスがあり、まるで映画のワンシーンに迷い込んだような感覚に。
サンパールの魅力は何といっても、手作り感のあるモーニングセット。厚切りトーストとゆで卵、フレッシュなサラダ、そしてコーヒーがセットになって500円台という価格は、今の時代には希少です。特に、バターがじゅわっと染み込んだ焼き立てトーストの香ばしさは、一度食べたら忘れられません。
店内には常連さんが静かに新聞を読んでいたり、店主と世間話をする姿が見られ、まさに「地域のリビングルーム」といった雰囲気。観光客が少なく、静かに朝の時間を過ごせるのも嬉しいポイントです。
純喫茶 ロン｜タイムスリップ気分に浸れる名店
藤沢駅から徒歩圏内の場所にある「純喫茶 ロン」は、1970年代から続く歴史ある喫茶店。ビルの2階にある隠れ家のような立地で、少し見つけにくいのですが、それがかえって特別感を演出してくれます。
扉を開けた瞬間、目に飛び込んでくるのは、深紅のソファとステンドグラス風の照明、アンティーク調のカウンター。まるで昭和のドラマセットのような空間で、時間がゆっくりと流れているのを感じます。
ロンのモーニングセットは、トーストに加えて日替わりのスープが付くのが特徴。体がホッとするやさしい味わいで、肌寒い朝には特におすすめです。コーヒーはサイフォン式で淹れており、香りが豊かで贅沢な一杯に。店主が一人で丁寧に対応しており、その接客の温かさにもファンが多いです。
カフェ・ド・ジュン｜店内の昭和インテリアが魅力
江ノ電の柳小路駅からすぐの「カフェ・ド・ジュン」は、地元のアート愛好家にも知られる、アートギャラリー併設のユニークな純喫茶です。店名の「ジュン」は、創業者の名前から取ったもので、今もその精神を引き継いだ店主が営んでいます。
この店の大きな魅力は、壁にかけられた昭和〜平成初期のポスターや、展示された手作りの陶器、ステレオで流れるアナログレコードの音色。空間そのものが美術館のようで、コーヒーを飲みながら「時間を鑑賞」できる贅沢があります。
モーニングでは、ホットサンドが人気。外はカリッと、中はとろけるチーズがたまらない逸品で、サラダとドリンクがセットになっています。店内撮影も可能で、レトロ好きにはたまらないインスタ映えスポットです。
喫茶ルミエール｜老舗ならではの心温まる接客
鵠沼海岸駅近くに位置する「喫茶ルミエール」は、昭和の雰囲気をそのままに残した小さな喫茶店。外観は控えめですが、店内に入ると、ウッド調の落ち着いた空間が広がります。壁には季節の花を描いた水彩画が飾られ、店主の趣味の良さが感じられます。
ルミエールの名物は、自家製のジャムがたっぷり塗られたトーストと、香り高いブレンドコーヒー。朝の時間帯には、店主が一人ひとりに丁寧に接客し、気さくに声をかけてくれるのが嬉しいポイントです。観光客でもすぐに溶け込めるような、温かな雰囲気が魅力。
また、このお店では朝の時間帯にピアノのBGMが流れており、音楽と共にモーニングを楽しむという贅沢も。心も体もリラックスできる、鵠沼の朝時間にぴったりの一軒です。
カフェベル｜地元の人に愛され続ける名物トースト
藤沢駅から少し歩いた住宅街の中にある「カフェベル」は、まさに“知る人ぞ知る”純喫茶。昔ながらの看板と、店頭に飾られた季節の花が目印です。中に入ると、木の温もりが感じられるレトロな内装で、まるで祖父母の家に遊びに来たかのような安心感に包まれます。
名物は「厚焼き玉子トースト」。ふわふわの厚焼き卵をトーストに挟んだシンプルなサンドイッチですが、出汁の効いた卵と、甘めのソースのバランスが絶妙で、リピーターが続出。朝の定番として、地元の方々に長年親しまれています。
カフェベルは朝8時から営業しており、静かな朝を過ごしたい人にぴったり。混雑することも少なく、ゆったりとした時間の中で食事と空間を楽しめる、藤沢・鵠沼を代表する純喫茶のひとつです。
鵠沼カフェ巡りをもっと楽しむためのコツ
江ノ電「途中下車」で楽しむカフェルート
鵠沼エリアを訪れるなら、断然おすすめなのが「江ノ電での途中下車の旅」です。藤沢駅から鎌倉駅までを走る江ノ島電鉄は、観光路線としても有名ですが、各駅の周辺には魅力的な純喫茶や個性的なカフェが点在しています。
鵠沼エリアに焦点を当てるなら、「柳小路」「鵠沼」「鵠沼海岸」あたりが狙い目です。特に柳小路駅周辺は、こぢんまりとしたレトロな雰囲気が漂い、駅前すぐのエリアにも昔ながらの喫茶店が点在しています。江ノ電は1日乗車券「のりおりくん」も販売しており、これを使えば気になる駅で自由に降りてカフェ巡りができます。
おすすめのルートは、藤沢駅でスタートして「柳小路」で喫茶1軒目→「鵠沼」で2軒目→その後「鵠沼海岸」で3軒目。各駅間の移動時間も短く、のんびりした江ノ電の車内から見える景色も旅気分を盛り上げてくれます。カフェ目的の途中下車は、湘南の楽しみ方をワンランク上に引き上げてくれますよ。
朝から動く！おすすめモデルルート紹介
鵠沼カフェ巡りは「朝活」が断然おすすめです。静かで空気の澄んだ早朝、混雑を避けてゆったり過ごせる時間帯に動くことで、純喫茶の良さを存分に堪能できます。以下に、カフェ3軒を回るモデルルートを紹介します。
鵠沼カフェ巡り モデルルート（徒歩＋江ノ電）
| 時間帯 | 場所 | 内容 |
|---|---|---|
| 8:00 | 柳小路駅「カフェ・ド・ジュン」 | ホットサンドとコーヒーでモーニングスタート |
| 9:30 | 江ノ電で鵠沼駅へ移動 | 風景を楽しみながら車窓の旅 |
| 10:00 | 鵠沼駅「喫茶サンパール」 | レトロな内装を写真に収めつつ、2軒目の休憩 |
| 11:00 | 徒歩で鵠沼海岸方面へ移動 | 散策しながら小道の喫茶店を探す |
| 11:30 | 「喫茶ルミエール」 | ゆったりと読書やBGMを楽しむラストの一杯 |
途中に公園や神社もあるため、カフェ巡りと観光を組み合わせるのも◎。特に朝の時間帯は混雑も少なく、贅沢な「静かな湘南」を味わえます。
レンタサイクルで巡る鵠沼喫茶ツアー
鵠沼周辺は平坦な道が多く、自転車での移動にぴったりなエリアです。藤沢駅や片瀬江ノ島駅周辺には、観光向けのレンタサイクル店がいくつかあり、1日数百円〜1,000円程度で借りられる手軽さも魅力です。
自転車があると、江ノ電の駅を中心とした範囲だけでなく、住宅街にひっそりと佇む喫茶店や、地元民しか知らない隠れ家カフェにもアクセスしやすくなります。たとえば、鵠沼海岸から辻堂方面まで足を伸ばせば、さらにレトロ感あふれる喫茶店にも出会えるかもしれません。
また、自転車なら時間に縛られず、自分のペースで巡れるのも大きなメリット。朝に一軒、昼に一軒、夕方にもう一軒と、一日かけて喫茶店と湘南の街を味わう贅沢なプランが可能になります。
観光地化されていない魅力を味わうコツ
藤沢や鵠沼の純喫茶の良さは、なんといっても「観光地化されていない」ことにあります。その分、地元に密着した雰囲気が濃く、地域の日常を感じられるのが魅力です。そんな雰囲気をしっかり味わうためには、いくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。
まず、事前に情報を調べすぎず、少し“余白”を持って訪れるのがおすすめです。地図アプリで現在地を表示しながら、「近くに喫茶店ないかな？」と探してみると、偶然の出会いが生まれます。
次に、混雑を避けたいなら平日を狙うのがベスト。特に朝の時間帯は常連客中心で落ち着いており、地元の雰囲気を堪能できます。また、店主との会話を楽しむのもポイント。メニューの由来や店の歴史を聞くと、その場所がより特別に感じられるはずです。
写真映えポイントを押さえておこう
鵠沼の純喫茶を楽しむ上で「写真映え」を意識すると、思い出の残し方が一段と豊かになります。SNSで人気のスポットはもちろん、あえて“誰も知らない映えポイント”を探すのも旅の醍醐味です。
注目すべきなのは、店構えや看板、食器などのディテール。昭和レトロな字体やタイル張りの壁、木製の椅子や古いメニュー表など、喫茶店ごとに独自の美学が詰まっています。自然光が差し込む午前中に訪れれば、写真の雰囲気も格段に良くなります。
撮影時はマナーも忘れずに。なるべく他のお客さんの邪魔にならないよう、店内が空いている時間帯に撮影するのがマナー。可能であれば、店主に一声かけることで、気持ちよく撮影が楽しめます。
昭和レトロ×湘南スタイルが融合した魅力とは
鵠沼のレトロ喫茶はなぜ心に残るのか？
鵠沼の純喫茶を訪れた人が口を揃えて言うのが「なんだか心に残る」という感想。その理由は、単に見た目がレトロだからではありません。鵠沼の喫茶店には、昭和から令和へと受け継がれてきた「時間の記憶」と「人のぬくもり」が詰まっているのです。
店内のインテリアひとつをとっても、使い込まれた木のテーブルや、少し色あせたソファ、壁にかかった手書きのメニューなど、ひとつひとつに物語があります。そして、その空間に流れるのは、急かされることのない“ゆるやかな時間”。スマホやSNSが主流の今、こうした「何もしないで過ごせる場所」は貴重な存在です。
さらに、店主とのやりとりや、常連客の何気ない会話、テレビから流れる朝のワイドショーなど、喫茶店という空間に自然と溶け込んでいくことで、「自分がここにいていい」という安心感が生まれます。鵠沼の純喫茶は、そんな「心の居場所」になってくれるからこそ、強く記憶に残るのです。
湘南の空気と昭和のノスタルジーの相性
海のそば、潮風の香り、どこか開放的な湘南エリア――そんな場所に、昭和の香りが漂う純喫茶があるというギャップこそが、藤沢・鵠沼の面白さです。一見ミスマッチに思えるこの組み合わせですが、実はとても相性が良いのです。
湘南といえば、サーフィンや若者文化、カフェ文化のイメージが強いですが、鵠沼は少し内陸にあることで、静けさや落ち着きが感じられる場所です。その空気の中に、レトロな喫茶店が溶け込んでいると、まるで時間が止まったような不思議な空間が生まれます。
潮風に吹かれながら喫茶店に入り、昔ながらのナポリタンを食べ、店内で流れる昭和歌謡を聴く――そんな体験は、他の地域ではなかなか味わえません。海とレトロの融合は、湘南だからこそ成立する絶妙なバランス。その場に身を置くだけで、五感すべてが喜ぶのを感じることでしょう。
若い世代に人気再燃している理由
かつては年配層の憩いの場として親しまれていた純喫茶ですが、近年では若い世代、特に20〜30代の女性を中心に再評価され、人気が再燃しています。藤沢・鵠沼エリアの純喫茶にも、SNSを通じて若者たちが足を運ぶようになり、新しい風が吹き始めています。
その理由の一つが、「写真映え」する空間です。昭和レトロな家具や照明、レトロな食器やドリンクメニューは、Instagramでシェアしたくなる魅力にあふれています。また、無機質でシンプルな現代のカフェとは違い、喫茶店ごとの個性が強く、「ここでしか味わえない雰囲気」が楽しめる点も大きな魅力。
さらに、若者たちは「癒し」や「スローな時間」を求めて純喫茶に足を運んでいます。忙しい日常の中で、ノスタルジックな空間に身を置くことで、心がリセットされるような感覚を味わえるのです。昭和を知らない世代が、自分なりの感性でレトロを楽しむ――それが、純喫茶人気再燃の原動力となっています。
純喫茶を通して見える「地域文化」
純喫茶は単なる飲食店ではなく、地域の文化や人々の暮らしが色濃く反映されている「文化の箱庭」のような存在です。藤沢・鵠沼の喫茶店に入ると、その地域ならではの会話、味付け、飾られている写真やポスター、すべてが「地元の物語」を語ってくれます。
たとえば、地元のイベントのチラシが掲示されていたり、店主が漁師町出身でしらす料理にこだわっていたり、昔の藤沢の写真が飾られていたり。観光ガイドには載らない、地域ならではの情報や風景に触れられるのが、純喫茶ならではの魅力です。
こうした空間に触れることで、私たちは「湘南」というブランドではなく、「鵠沼」という具体的な地域に親しみを持つことができます。純喫茶は、地域の記憶を今に伝える“生きた文化遺産”とも言えるでしょう。
鵠沼喫茶巡りがもたらす心の癒し効果
忙しい日々に追われる現代人にとって、「何もしない時間」はとても贅沢なものです。そんな癒しを提供してくれるのが、鵠沼の純喫茶。ガヤガヤとした観光地とは違い、地元の人々が静かに朝食を楽しみ、穏やかに過ごす空間がここにはあります。
純喫茶では、スマホを見るよりも、目の前のコーヒーカップや流れる音楽、窓から見える小道に意識を向けたくなるもの。そうすることで、自然と呼吸が深くなり、頭の中もスッキリしていきます。これはいわば“カフェ・マインドフルネス”。喫茶店にいるだけで、心が整っていくのです。
また、地元の人との何気ない会話や、昔の音楽に耳を傾けることで、どこか懐かしい気持ちになり、心がほぐれていくのを感じられます。特に、朝の時間帯はその効果が大きく、1日を気持ちよくスタートさせるには最適です。
藤沢・鵠沼の純喫茶で味わう、心と時間がほどける湘南モーニング体験【まとめ】
藤沢・鵠沼エリアの純喫茶は、まさに「昭和レトロ」と「湘南のやさしい空気」が見事に融合した、他にはない特別な空間です。観光地の喧騒から少しだけ離れ、江ノ電の小さな駅で降りて歩いてみると、そこには時代に取り残されたのではなく、時代を大切に守ってきた店たちが静かに営業を続けています。
今回ご紹介したような喫茶店は、ただコーヒーを飲む場所ではありません。地元の人々の暮らしに寄り添い、心をリセットし、自分と向き合うための時間を与えてくれる「心の居場所」です。そしてそこには、分かち合いたくなるような、あたたかい朝時間の魅力が詰まっています。
昭和の香り漂う空間で、湘南の風を感じながら、ふと心がほぐれる――。そんな体験は、スマホや情報に囲まれた現代生活の中で、貴重な“逃げ場”にもなり得るでしょう。
「観光客は知らない、藤沢・鵠沼の純喫茶巡り」。
次の湘南旅では、ぜひ朝の一杯からスタートしてみてください。そこにはきっと、思い出深いひとときが待っています。
